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都築区で『ママスハウス』という助産院を開設しております高橋なぎさと申します。
今日は小さいお子さんから、妊娠出産は遠い昔のことだったかしら?なんて思われる方もいらして、嬉しく思います。 |
人は、生まれ‘継がれてゆく’ことを日々実感しています。 |
人が生まれる、というのは、その一世代で終了してしまうものではなく、生まれ継がれていくものかと日々感じています。
実は今日も男の子が生まれてきたんですけれど、私が普段お世話させていただいているお産っていうのは、いわゆる、現代の一般的なお産ではなく、全出産数のほんの2%のお母さんたちにかかわらせていただいています。自宅や助産院で、家族や気持ちの安らぐ人とともに行うお産。
全出産の2%ですから、たぶんほとんどの方が経験しないかもしれないと思われますので、少しご紹介したいと思います。
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妊婦さんの好きなようなスタイルで… |
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私が普段かかわらせていただいているお産というのは、本当に妊婦さん産婦さんの好きなように過ごしていただいています。
分娩台もありません。普段ご主人と過ごしていらっしゃるお布団であったり・・・そのような場所で出産されます。
ご主人だったりお母さんだったり、ご両親だったり、普段そばにいらっしゃる方が回りで励ましてくれることがとても良いのです。
今朝のお産も、お母様が、そばについていました。不思議なもので、産んでいるご本人よりも、周りの方の方がやや頑張りすぎのところも見受けられて…。本当に「おばあちゃんが産むの?」というくらい張り切って声を出したり、体を動かしたりされていました。 |
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自分のからだから命を産み‘出す’ |
お産のときに産婦さんはよく体を動かします。自分の体から、まさに命を産み、出す、という感じです。
お産のことをよく、「鼻からスイカがでるくらい」に痛いとか辛いとか表現をしますが、鼻からスイカが出るのではなく、体から赤ちゃんが産み、出る、というときには、もう体が踊るんですね。お産というのは本当に産婦さんの踊りだと思うくらい、体が踊ります。この踊りに合わせて、赤ちゃんも生まれてくる。 |
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へその緒の、どくどくどくとした発動と、発動が止まっておへそを切る。感動の瞬間! |
赤ちゃんが生まれたときに、へその緒を切る前にお母さんの胸に抱いてもらうんです。へその緒を切る「前」というのが大事なポイントなんです。
まだへその緒の、どくどくどくとした発動を自分の体で感じたら、そしてへその緒から赤ちゃんに向かう発動がどくとくと、自分の体から出た発動が、止まって、初めておへそを切る。とても感動的な瞬間です。
そういう赤ちゃんは、案外泣かないんです。
テレビで見るような、分娩室のランプが消えると同時に赤ちゃんのオギャーって泣き声が聞こえて・・・っていうようなシーンが、ドラマなどに出てきますけれども、実際は、そうではありません。 |
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赤ちゃんは、不満だから泣くんです。 |
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断ち切られたへその緒、その瞬間に、今まで体内でずうっと母に守られていた、その安定感から断ち切られた、不安、で泣くんです。
生まれた赤ちゃんを胸に抱いて、お母さんがしっかり抱きしめれば、赤ちゃんはあまり泣きません。
へその緒を切って、お母さんから赤ちゃんを離し、オムツをあて、お洋服を着せ、その瞬間から泣きはじめます。もう親から離されたときから、高らかに、元気良く、泣きます。
そしてお着替えをしてお母さんの胸元に戻ったときには、また泣き止みます。
産まれたお母さんは、その時、「ああ、この子は私がそばにいないとこんなに辛そうに泣くんだ。私がそばにいないと、この子はダメなんだあ、ああこの子には私が必要なんだ。」と感じます。
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赤ちゃんとお母さん、お互いの関係で母性がつくられていく |
女性は産んですぐ母性がみなぎるわけではありません。
子供にとって私が必要、私にとって子供が必要と、こういう、お互いに必要としている関係が、日に日に作られていき、母性が湧きたっていきます。 |
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大切にしたい、大切にされたい…次の世代へと受け継がれてゆく「いとおしい」気持ち |
子育てをするときに、自分の体の声を聞いてください。
お父さんになったときに自分の体から湧き上がってくる父性に、どうぞ気づいてください。
子供さんができたとき、自分の体の中から湧き上がってくる、おじいちゃんの気持ち、おばあちゃんの気持ち、いとおしいと思う気持ち、大切にしたいと思う気持ち。
そして、相手からも大切にされたい、自分のことを大切に思ってくれているという気持ち、・・が、つながりあって、人と人とはかかわっていき、次の世代へ次の世代へと気持ちが受け継がれていくものだと思っています。
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みんな、おなかのなかにいる時から大切に思われて生まれてきた |
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(会場の子どもたちへ語りかけて)
みんなが産まれてきたときに、本当に大切だと思われて、産まれてきたか。
お母さんだけじゃなくお父さんだけじゃなくおじいちゃんおばあちゃん・・もしかするとお隣の人やご近所の人や・・もしかすると見ず知らずの人まで。
お母さんがおなかが大きくて街を歩いているときに通りがかりの人が、妊婦さんだ、おなかに赤ちゃんがいる人だ、大丈夫かな?階段大丈夫かな?坂道大丈夫かな?
そうやって、ふと思ってくれただけでも、どんなに大事にされていたか。
見ず知らずの人からも、そうやって、おなかの中にいるうちから、大切に大切に思われて、みんなが生まれてきたのね。
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その気持ちを、次の子どもたちへ受け継いでいけたらいいですね |
その、自分のことを大切に思ってくれている気持ちを、また今度は大きくなって、また素敵な人と出会って、そして命を育むときに、またその気持ちをその子供に受け継いでいく。自分がしてもらったのと同じように、自分が感じたのと同じように、受け継いでいけたらいいなーっと思っています。 |
思い出してみましょう…生まれてきた、あの日のことを |
最後に。目をつぶって感じてみましょう。−全員でイメージング−
遠い遠い昔・・
自分がおなかの中に、母のおなかの中にいた頃のこと・・
目をつぶって思い出してみましょう。
あたたかーい羊水の中で・・・母の手を感じ・・・母の鼓動を感じ・・・
生まれ出る日を・・・その日を・・心から待って・・
会いたかったぁ・・・
この人がお父さんなのね、この人がお母さんなのね・・・
生まれてきた、生まれてきてよかった。
そう思って生まれてきた日のことを思い出してみましょう。
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ありがとうございました。
それでは、このあと素敵な音楽を聴いていただき、皆さんの気持ちがわたあめのように溶けて帰っていただくことを願っています。
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