月刊クーヨン(クレヨンハウス刊)2004年5月号で紹介されました。
モノごころ
<BABY in ME>のマタニティマーク・アイテム
あたたかいふれ合いの輪を広げるツールでありたい
 厳しい体重管理のせいか最近はスマートな妊婦さんも多く、30週を過ぎても後ろ姿ではわからないほともいるくらい。まして体型の変わらない妊娠初期を見抜くのは困難です。でもこの時期こそ、不安やつわりで心身ともにつらいのです。乗りものの中やひと混みで、おなかを押されそうになったり、近くでたばこを吸われたり。「おなかにあかちゃんがいるんです!」って言いたくなる場面はたくさんあります。でも妊婦は特権ではないと我慢してしまう・・・・・・。一方車中で、もしかしたら妊娠しているのかなと気付いたほうも、違っていたら悪いと、席を譲るに譲れないこともあります。この双方をつなぐのが、「BABY in ME」のマタニティマークです。

 「BABY in ME」は造語です。妊娠に気づいて欲しいひとと、気遣う気持ちのあるひとをつなぐ、コミュニケーションツールとして考えました。」と考案者の村松純子さん。マークをつくるきっかけは、「電車の中で、つわりで気分が悪くなったのに、二日酔いだと誤解された」という友人の体験だったとか。1999年にマークをつくり、ホームページで呼びかけ、アイテムの通販をはじめました。

 「アイテムは、すべて要望に応えるかたちで増やしてきました。最初の頃に買ってくださった方はみなさん自分が使うことでまわりにマークを浸透させますと言ってくださったんです。いまもそのひとたちの気持ちに応えるためにがんばっているという感じです」

 村松さんは本業のかたわら、HPの更新から品物の発送まですべてひとりでやっています。たったひとりの思いつきが、ここまで広がるとは思わなかったと言います。

 「『これいいよね』と思う方に使ってもらうことが基本です。自然な広がりを大事に考えています。でも、公共機関での配布を要望する声も多いのです。千代田区のように自治体が協力してくださることで、みんなのマークになっていくとうれしいです」
 使った方からは、「気づかってもらえた」などうれしい体験談がたくさん寄せられ、村松さんの元気の源になっています。一方で、もっと目立つようにしてほしいという意見も寄せられるようですが・・・・・・。

 「これが(何かしてくれマーク)になるのはイヤなんです。マークを見た方のなかで、何かしてあげてもいいよという方が状況に応じて気持ちよく手を差しのべてくださるような、好意と好意をつなぐものであってほしいと、強くおもっています」

 誰でももっているやさしい気持ちを引き出すきっかけになるモノをつくる。妊娠中の方と周囲のやさしい気持ちのふれ合いが、社会全体のやさしさへとつながっていくことを願っているのです。

 いつか、日本発の提案として世界へ発信できたら・・・村松さんの夢は広がります。「たったひとりが思いついてやったことでも無駄じゃなかった。ひとりでは何もできないと思っているひとに、ダメじゃなかったでしょ、といつか言いたいんです」
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