読売新聞2002年7月6日で紹介されました。
読売新聞2002年7月6日紙面記事
妊娠初期 バッジで伝える
苦しいつわり・・・外出時など さり気なく 周囲に

吐き気やめまいなどつわりの症状に悩まされる妊娠初期は、おなかが目立たないため、外出時などになかなか原因の理解を得にくい。妊娠中であることをさり気なく示す。“妊婦バッジ”が女性たちの人気を集めている。おなかの子どもにも大切な時期でもあり、こうした支え合いの輪は広がっていきそうだ。
今月末、出産予定日を迎えるさいたま市の主婦 小田優子さん(27)は、妊娠初期のつわりが重く、通院の帰り道にバスの中で倒れそうになり、何度か途中下車して家までたどり着いたことがある。

 「気持ち悪そうにしていても、『二日酔いだろう』という冷たい視線を向けられる。あのころは外出自体がこわかった」と振り返る。

 妊娠四ヶ月のとき、インタネット上“妊娠バッジ”を知って購入した。バッジをしているだけで若い女性から「席を替わりましょうか」と言ってもらえた。「それだけでうれしくて涙が出そうでした」

 バッジには、「BABY in ME」という文字と、おなかにハートをかかえた女性のイラストがついている。横浜市内のフリー編集者 村松純子さん(39)が、三年前から個人のホームページを開いて通信販売してきた。

 村松さんがバッジの製作を思い立ったのは、当時一緒に働いていた友人は妊娠し、電車などでつらそうにしていたのがきっかけだ。「同じ時期に私も体調を崩したんですが、自分から『席を替わって』と言うのは勇気っがいること。できるだけさり気なく体調を伝えるグッズがあれば、と考えました」と村松さん。

 知人のイラストレーターに依頼して、ハートマークを考案。はじめはTシャツだけだったが、女性たちの声に押されて、キーホルダー、携帯ストラップ、ミニステッカーなどを次々開発。一年半前からはバッジが商品の主流になり、これまで累計三千個が売れた。最近は、母子手帳交付の際に配布したいとまとめて購入する自治体も現れたという。

 先月末から、横浜高島屋のマタニティー用品売り場でも取り扱われている。一個四百円。「妊娠初期の女性を勇気づける贈り物としての需要もある」と同百貨店。

 日本助産婦会の岡本喜代子事務局長は「妊娠初期は胎児にとって大切な時期。バッジを付けることで、女性が前向きな気持になり、周囲の応援を得られるようになれば意味は大きい」と話している。
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